甘いお砂糖のお話 その2

第2回目のテーマですが、引き続き

和菓子に欠かせない“砂糖”についてお話をしていきたいと思います。

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Vol.02
栄養士・国際中医薬膳師・ヨガインストラクター : YUKOさん

糖分の摂り過ぎが良くないことは皆さんご存知だと思いますが、どのような影響があるのか、東洋医学的な見解を中心に見ていきたいと思います。

皆さんは、サトウキビは身体を冷やし、甜菜糖は冷やさない、なんてお話し聞いたことありますか? マクロビオティックではこのように言われます)
マクロビオティックとは、何か簡単に説明します

桜沢如一という方が、今から100年ほど前、自身の病気を治そうと様々な学びを通し取り組んだ食療法で、主に食べ物の影響力についてまとめられた理論

私達は自然の一部であり自然に沿った生き方を提唱する内容で、食べ物でいうと自分の身の回りで育ったものをできるだけ自然な形(丸ごと、加工し過ぎない)で摂ることでバランスを調え健康を維持していきましょうという考え方。

バランスが崩れることで人は病気になると言われています。土地が変われば気候も獲れる作物も変わってきますで当然食べるべきもの、避けるべきものは、その土地によって変わってきます。東洋で伝えられている陰陽論がベースになっており、食べ物もすべて“陰陽”で捉えます。

例えば:

「陰性」の特徴は膨張、拡散、緩める作用があり、身体を冷やします。
食べ物でいうと熱帯で育った野菜、果物、また乳製品や甘味料、アルコール、精製食品、添加物なんかもこれに該当します。
「陽性」の特徴は収縮、緊張、縮める作用があり、身体を温めます。
食べ物でいうと肉や魚、魚卵、卵、精製塩などがこれに該当します。
甘味料は基本的には陰性または陰性よりで、熱帯で育ったトウキビは強い陰性、北海道などの寒冷地で育つ甜菜は中庸に近い陰性と言われています。

温帯で暮らす私達には、極陰性のものや極陽性のものは身体のバランスを崩しやすいので、できるだけ中庸に近い食材が推奨されます。

私たちに推奨される甘味料は、近い気候で育つ未精製の甜菜糖やメープルシロップとなり、サトウキビ製品は避けるべき食材に該当します。甜菜糖でも精製されていれば白砂糖と同じ、極陰性になると言われています。

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前回説明いたしましたが、サトウキビ由来の糖類とは、上白糖、グラニュー糖、三温糖、きび砂糖、黒砂糖、水飴などなどです。

また、はちみつ、ステビア、羅漢果、糖蜜などの凝縮された甘味料や人工甘味料も同様に、非常に拡散性が強く、極端な陰性食品として避けるべきと言われています。

中医学でも全てを陰陽で捉えます。

マクロビオティックでいうところの陰陽と中医学とでは完全に一致はしないようですが、非常によく似ています。

中医学とは、中国で三千年以上前から伝わる中国の伝統医学のことで、    中国の古代哲学を基に長年の経験の中で体系づけられてきた学問です。

詳しくはまた別の回でお話しいたしますが、中医学でも食べ物には陰を補う食材と陽を補う食材があると言われます。

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中医学の食材に対する陰陽の捉え方は、陽は身体を温める作用があると言いますが、陰はどちらかと言うと身体に潤いを与えるといったような意味合いが強いです。
食材全てを、寒・熱・温・涼の四性で捉え、熱を生みやすい体質の人や病気には熱を冷ます作用のある寒涼性のものを必要とし、冷え体質の人や病気には、温め寒気を散じるような温熱性の食べ物が必要とされています。

単純に両者を比較してしまうと混乱する点があります。

マクロビオティックでいうところの陰(冷やす)陽(温める)食品と中医学で言うところの寒熱温涼食品に何点か違う点があるのです。

黒糖は中医学でいうと温性食品に該当するのですが、マクロビでは陰性食品に該当し身体冷やすと言われているのです。

他にも、スパイスや紅茶はマクロビでは陰性(冷やす)と言われますが、中医学では温性と言われるものが多かったり、ウニやカニはマクロビでは陽性(温める)と言われますが、中医学では寒性と言われる、などなど。

勉強をし始めた当初、正直私は混乱しました。
どちらを信じたらいいのだろう、、と。
中医学の方が当然古いものなので、それだけ信憑性はある、でもマクロビの言っていることはとてもよく理解できるし、、
結果、白黒つけ過ぎないようにする事に決めました。私の中医の先生も言っていたのですが中医学は歴史が古く広範囲に渡り発展してきたものなので師により言うことが違うこともしばしば起こる。あまり惑わされないよう、深く考え過ぎないようにと言われました。

あとは、自分で食べてみて感じて確かめるしかないですね。

単純に栄養学的数値で見ても、黒糖には鉄分をはじめとしたミネラル分が多く含まれるため身体の調子を調える効果はありそうです。

中医学では、特にお腹を温め、血流の改善、生理痛などにも効果があると言われています。

サトウキビ(甘蔗)は、文献により平性であったり寒性であったりまちまちではあるのですが、中医学的に見ても少なくとも温性ではなさそうです。効果として、清熱生津(余分な熱を下げ身体を潤す)、活血去瘀(血流を改善し滞りを解消)などが明記されており、この“熱を下げ、潤す”作用が明らかに陰性の性質を持っていそうです。
黒糖は、簡単にいうとサトウキビジュースを煮詰め乾燥させたものなので、加熱と乾燥させる作業によって、もともとはの性質が強い陰性食品が加熱や乾燥作業により、火の性質が強い温性(陽性化?)に変化したと考えられているのかもしれません。あくまで憶測ですが。
上白糖やグラニュー糖も同じく煮詰め、乾燥や結晶化の工程を経て作られますが、サトウキビに含まれる不純物(栄養分でもあります)を取り去りショ糖の部分だけを抽出するので、黒糖やサトウキビそのものと性質は異なるでしょう。

近代的な製法により精製された白砂糖は中医学的にどのように捉えるか、?な部分があるのでここでは触れるのを控えます。

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私が訪れたことがあるインドや東南アジアなどの熱い国ではサトウキビをそのまま絞ってジュースにしたものが道端で売っていました。オーダーすると目の前で機械を使い絞ってくれます。暑くて汗をいっぱいかくような国でこのジュースはとっても美味しく身体にしみわたる感覚がありました。とても甘いのですが甘ったるくなくすっきりとしていて甘いのに喉の渇きが潤うのです。冷えたかどうかは、正直わかりませんでしたがその土地に適した飲み物だと感じました。

次に蜂蜜について話を進めたいと思います。

中医学では蜂蜜は冷えも温めもしない平性と言われます。

胃腸の調子を整え、肺を潤し、咳止めや便秘の解消、肌の乾燥症状の改善などの効果があると言われています。日本でも民間療法として、風邪で喉を痛めた時なんかに蜂蜜大根やかりん蜂蜜なんかを飲みますね。

マクロビで言うところの冷えにつながる陰性、との見方と異なりますが、潤すと言う意味では陰性の質がありそうです。

インドで発祥し、インドやスリランカで発展を遂げたアーユルベーダという伝統医学でも、蜂蜜は推奨されています。蜂蜜にはオージャス(自然のエネルギー)がたっぷりと含まれており、体内に溜まった毒素を排出する働きがあると言われ、また身体を温める作用があると言われています。

どちらかというと“”の性質をもち、体内に溜まった“”の乱れを調える働きがあるようです。

ただし条件として、“生”の蜂蜜であることが言われます。

詳しくはまた別の回でお話しいたしますが、加熱することで成分が毒素に変化してしまうようです。またアーユルベーダ治療では、薬となるハーブなどの粉末を蜂蜜に混ぜて摂取するように言われることがあります。蜂蜜の力で薬の効果が増すと言われています。

中医の薬、日本の漢方薬でも薬の効果を留めたり調和させる役割があるとして、“甘草”という甘味を持つ生薬がよく使われています。甘味の持つ力は確かにあるようです。

ただやはり摂り過ぎは体内に湿を生み、毒となるとも言われていますので、摂り過ぎはいけません。

東洋医学的観点を中心にお話しいたしましたので、陰や陽、水や火、エネルギーなど、初めて聞く方には飲み込みにくい内容が多々あったかもしれません。

昨今、多くの説が飛び交う中、伝統的な考えとしてどういったものがあるかお伝えできればなと思いまとめました。中医学やアユールベーダで推奨される糖分も、もちろん摂り過ぎは禁物です。現代は砂糖が容易に手に入る時代になりましたので、日常的に少し摂り過ぎという事実はあるかもしれません。

砂糖の摂り過ぎは糖尿病や肥満につながるとの見方は周知の事実としてありますが、果たして、精製された白砂糖が良くないのか、砂糖などの甘味料だけでなくご飯なども含む糖質自体が良くないのか、論争は広がる一方です。
もし何か体調に不調を感じて、糖分摂取を控える事でその症状が改善させるなら、それはその人にとって正解なのでしょう。
どの情報が正しいか正しくないを判断するのは本当に難しいことです。
時代と共にあらゆる研究は進みますし、その対象物となる私達も自然も農作物も変化します。
その中でも変わるもの、変わらないものを見極め、その変わらないものを軸に柔軟な思考を持てるようになれば良いのかなと、私は思います。
今回お話しした内容も、一つ皆様の参考になれば嬉しいです。
何事も絶対はない
自身で色々と試してみて、自分の感覚を養っていくのも一つの楽しみかなと思います。

そして最後にはやっぱり、みんなで元気に楽しく暮らしていきましょう。

次回は、冒頭でも少し触れた、身の回りで育ったものを食すことが身体に良い理由について、もう少しお話ししていきたいと思います。

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THE ANCO JOURNEY MAGAZINE  “専門家に聞いてみた”シリーズ

栄養士 国際中医薬膳師 ヨガインストラクター YUKO

自身の体調不良がキッカケで10代の頃より食と健康に関心があり、大学で栄養学を学ぶ。インド、スリランカへヨガとアユールベーダの勉強を経て全米ヨガアライアンス認定 RYT500を取得。国際中医薬膳師を取得。現在はヨガ教室や料理教室の開催や企業のレシピ開発などに携わっている。

楽しみながら“ちゃんとした”美味しいものを食べて、みんなで元気になれたらいいですね。 それが私の願いです。

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