身近で取れるものを食すことの大切さ

第3回目のテーマですが、

前回、身近で育ったものを食べることの大切さに触れましたが、どういったことかをもう少し詳しく説明していきたいと思います。

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Vol.03
栄養士・国際中医薬膳師・ヨガインストラクター : YUKOさん

日本では昔から『身土不二』と言う仏教用語があり、“身と土は切り離せない”と言われてきました。

世界三大伝統医学の一つ、中医学(中国)でも『天人合一』といって“自然界で起こる様々な現象は、人体にも同じく起こりうる”と言う基本理念があります。

その土地の気候がどれだけ私たちと深くつながっているかを表した表現です。

もう一つの世界三大伝統医学である、アーユルベーダ(インドやスリランカ)でもこの考えを大切にしていて、土地や自然界が私たちの身体へ及ぼす影響について、言及しています。

105アーユルベーダの普及に努める医学博士、蓮村誠先生の本の中に、『地のもの』がからだに良い本当の理由」と題しわかりやすい説明がありましたので、紹介させていただきます。

まず始めにアーユルベーダで使われる言葉の説明をここで簡単にします。

アーユルベーダでは、全ての人には、“ドーシャ”と呼ばれる三つの力(ヴァータ、ピッタ、カパ)があると言われています。ドーシャはそれぞれの特定の性質を持つエネルギーで、私たちの個性や体質は、この三つの力(ヴァータ、ピッタ、カパ)のバランスによって決まります。

<三つの力の特徴>
“ヴァータ” → “風”のように軽い、冷たい、乾燥、不規則など
“ピッタ” → “火”のように熱い、鋭い、軽い、流れる、辛いなど
“カパ” → “水”のように重い、柔らかい、冷たい、遅い、湿、安定など

以上を踏まえ、読み進めてみてください。

気候、風土によって土地のドーシャ(エネルギー)は異なります。乾燥した寒い地方では、ヴァータ(風の性質)が強くなっています。一方、灼熱の気候のもとではピッタ(火の性質)が支配的な強さをもち、ジメジメと湿った寒い地方にはカパ(水の性質)が充満しています。その土地に生えている植物は、それぞれの土地のドーシャ(性質)のかたよりを正すエネルギーを持っているのです。

ヴァータ(水の性質)が強い土地ではヴァータを下げる性質の植物が茂り、ピッタ(火の性質)が強い土地ではピッタを下げる性質の植物が生育します。これは大自然が常に見せる調和的な働きのひとつです。植物がその土地のドーシャ(エネルギー)のバランスをととのえようとしているのです。

ですから、例えばヴァータ(水の性質)が強い土地に住み、四六時中ヴァータ(水の性質)にさらされ、その影響を受けている人々は、それを下げるため「地元で生育したもの」を食べると良いのです。

もちろん土地のドーシャ(性質)は季節によって変化します。すると生育する植物の種類が変わったり、同じ植物であっても性質を変えたりします。旬の食べ物は、その時の、その土地のドーシャ(エネルギー)の乱れを正してくれるのです。

私たちは食べ物がおいしさという喜びを与えてくれ、からだをつくり命を支える栄養を与えてくれていることは、普段から意識しています。でも実際にはそれだけでなく、目には見えない素晴らしい作用をそっともたらしてくれているのです。」※( )内加筆しています。

う~ん、なるほど。

前回も触れましたが、寒い環境で育ったものは身体を温めるものが多いですし、暑い環境で育ったものは身体を冷やすものが多いです。

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要するに、自分が生活する環境で育ったもの、旬のものを食べることが、自分の身体にとって一番自然な形であり、健康を維持する方法ですよというお話です。

先人の知恵というのか、昔から伝えられてきた話というのは万国共通であるし、やはりそうなんだなと気づかされます。

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ふと、私はカンボジアで出会ったキャベツのことを思い出しました。

とある日本の農家さんが、カンボジアで農業を始め、日本から種を持っていき栽培していたのですが、ある日その方からキャベツをいただきました。

日本ではキャベツといえば丸くて、寒さから身を守るように、葉がびっちりと覆うように成りますが、そのキャベツは形も色も全然違うもので、葉が開きっぱなしとでもいいましょうか、ほうれん草や小松菜のように一枚一枚の葉っぱが上に向かって伸びており、色は青々としていました。
同じ種を使っても、生える土地でこんな違いができるんだ~と感心しましたが、まさにこの土地の、この気候にふさわしいエネルギーを蓄え成長したものだったんですね~。

日本のキャベツは身体を冷やす作用はありませんが、おそらくこのキャベツは多少冷やす作用を持ち合わせ、成長したと推測されます。

地のもの旬のものを食べることの大切さ、なんとなくつかめましたでしょうか?

とはいえ皆さん、野菜や果物の旬を正確に言えますか?

正直、私も百点とれるか微妙なところはありますが、、、

都市部で暮らしているとなかなか周りに畑はありませんし、スーパーでも、農作物の産地は書かれていても、本来の旬の時期なんて書かれていません。これが一体、露地ものなのかハウス栽培なのかも、見分けがつきませんよね。
食べたいものが何でもすぐに手に入るこの時代、便利な世の中になったことで、その恩恵を受けることも沢山あります。
ただ、自然の摂理とかけ離れた生活が行き過ぎてしまうと人はバランスを崩し、体調を崩してしまうことも。
もし今回のお話で確かにそうかも、と共感してくださったあなた、今は携帯で旬の食材も簡単に調べられます。
できるだけ国産のもの、旬の食材を選ぶ、できることから少しずつ気をつけてみてください。
実際、自然な気候で育った野菜の方がハウス栽培野菜に比べ栄養価も高いと言われています。
そしてお財布にも優しく、何よりも美味しいです。
現代は、日本の食料自給率も問題になっています。
こういった自然の摂理を含め、少し意識してみるだけでも個人がそして社会が変わってくるのかなと思っております。

次回は「あんこ」のお話をしようと思っています。

お楽しみに~。

*参考文献*

蓮村誠「地のもの」がからだによい本当の理由『毒を出す食 ためる食[実践編]』PHP文庫2011,106-107.

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THE ANCO JOURNEY MAGAZINE  “専門家に聞いてみた”シリーズ

栄養士 国際中医薬膳師 ヨガインストラクター YUKO

自身の体調不良がキッカケで10代の頃より食と健康に関心があり、大学で栄養学を学ぶ。インド、スリランカへヨガとアユールベーダの勉強を経て全米ヨガアライアンス認定 RYT500を取得。国際中医薬膳師を取得。現在はヨガ教室や料理教室の開催や企業のレシピ開発などに携わっている。

楽しみながら“ちゃんとした”美味しいものを食べて、みんなで元気になれたらいいですね。 それが私の願いです。

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